top of page
コンセプト
それは、時代の流れに左右されない、
普遍的かつ幻想的な美しい物語。
ファンタジーが好き
いつからだろう? ファンタジー小説を読んでも、あまり心踊らなくなったのは
私は子供のころから、ファンタジー小説が好きでした。しかし大人になった今、昔のように心をワクワクさせてくれるファンタジー小説が、すっかり減ってしまったと感じています。
「いや、子供の頃に受けた感動は、より強く記憶に残るものだよ」
と仰る方も、きっと居られるでしょう。確かにそうなのかもしれません。近年、ファンタジー小説を読んでも、子供の頃のようにワクワクしなくなってしまったのは、私の心が荒んでしまった影響も間違いなくあると思います。でも果たして、本当にそれだけでしょうか?
日本におけるファンタジー浸透の歴史
マイナーなジャンルだったファンタジーは、いつしかライトな娯楽として日本に浸透していった
ファンタジーって、今ではゲームやアニメなどで馴染みがあるせいか、ライトなものと考えられていますが、元々はかなりマニアックなジャンルでした。実際、『洋ゲー』に代表される海外系ファンタジーは、今でも日本人には受け入れ難い側面があると思います。
あの雰囲気が好きというコアなファンも居らっしゃいますが、一般的な日本人の感覚からすると海外系のファンタジーって(決して絵だけでなく)かなり濃いと思います。今や儚げな美少女のイメージとして定着しているエルフでさえ、昔は少し怖い雰囲気で捉えられていました。
カドルステイト物語は、もともと私が子供の頃、テーブルトークロールプレイングゲーム(TRPGと略)のシナリオとして書いた物語ですが、当時はまだファンタジーというジャンルはマイナーで、中世ヨーロッパ的な世界観で冒険するゲームは、TRPGもコンピュータゲームも分け隔てなく、ひと括りにロールプレイングゲーム(RPGと略)と呼ばれてました。
機転となったのは、恐らくファミリーコンピュータで発売されたドラゴンクエストの大ヒットではないでしょうか? それまでは一部のマニアがパソコンで細々と遊んでいたコンピュータRPGが、その後メジャーなゲーム機で次々に発売されるようになりました。
世間でもRPGという名称が徐々に広まり始めたこの時代。一部の子供達の間で流行っていたTRPGは、のちに様々な作品を世に送り出し、少しずつ進化していきました。私も子供の頃、そんなTRPGを遊んだ団塊ジュニア世代の一人です。
古き良きファンタジーの絶滅
異世界転生やダークファンタジーではない。昔ながらの美しいファンタジーが、気付くと世の中から消えていた‥‥
しかし、TRPGやライトノベルの走りとも言えるファンタジー小説は、その後、時代の流れと共に大きく変化していきました。その多様化によって「古き良きファンタジー」の流れを汲んだ作品は徐々に廃れていき、今やそうしたファンタジーは殆ど見られなくなってしまいました。
代わりに巷で流行っているファンタジーと言えば、不条理な世界と残虐性を前面に押し出したダークファンタジーや、主人公が死ぬところから物語が始まる異世界転生系、可愛い女の子が次々に登場するハーレム系、最強主人公が敵を薙ぎ倒すチート無双系など、いつしかライトノベルを中心にそんな作品が台頭し、今ではそれらが主流となっています。
そういったエンタメ性の高いファンタジー作品も面白いですが、しかし、子供にも読んで欲しいと思えるような古典的なファンタジーが好きだという人も、結構多いのではないかと思います。私自身もそうですが、第二次ベビーブームに産まれた団塊ジュニア世代の中には、子供の頃TRPGを遊んだという方も、案外居られるのではないでしょうか。
それは、幻想的で美しいファンタジー
私は、こんなファンタジーを読みたい! だから、自分で書くんだ
カドルステイト物語は、そんな古き良きファンタジーが好きな人をターゲットにした、若者向けの長編ファンタジー小説です。即ち、昔ながらのファンタジー好きの団塊ジュニア世代にはもちろんのこと、それを知らない今の若い人達にも、ぜひ読んで欲しい作品です。
異世界転生でも、ダークファンタジーでもない。
それは、純粋な美しいファンタジー小説。
私自身が読みたかったファンタジー小説。
そして、私が昔そうであったように、自分の子供にも読んで欲しいと思えるような、心を震わせるファンタジー小説。
そんな想いを形にしたのが、カドルステイト物語です。
本作の見どころ1
ファンタジーが本来もっている魅力に、
立ち還ることを目指したカドルステイト物語
ストレスフリーでは味わえないカタルシスが、そこにある
自分で言うのも変ですが、カドルステイト物語は今時のファンタジー小説と比較すると、正直言ってかなり地味だと思います。
主人公のデインは、世界の平和の為に戦っている訳ではなく、ただ自分の為に生きているだけの若者です。弓の扱いに関しては突出した才能を持っていますが、一人では何も出来ないし、群がる敵を蹴散らすような必殺技もありません。
また、この作品にはあまり女の子が登場しません。登場人物の比率は、だいたい男性7:3女性くらいの割合です。その分、可愛らしい女の子が大勢登場する、今時のファンタジー小説と比較すると華やかさに欠け、地味さに更なる拍車が掛かっている感は否めません。
更に言うと、この物語の世界は、特に滅亡の危機に瀕している訳でもなければ、世界征服を目論む魔王が復活しようとしている訳でもありません。ただ、剣と魔法の世界がそこにあって、人間や亜人種が住んでいて、ドラゴンが存在している。それだけです。
そんな、現実世界では絶対に有り得ないファンタジーの世界が、ただそこに在るだけで、主人公が超人的に強くなくとも、若い女の子が次々に登場しなくとも、世界が危機に陥らなくとも、壮大かつ繊細な美しい物語が生まれる。それが、カドルステイト物語です。
本作の見どころ2
一人では何も出来ない、
不完全なパーツが集まった連動的な戦闘シー ン
パーティなのに1対1? ましてや棒立ちなんて有り得ない! 今までに無かった本格戦闘
一人で敵を薙ぎ倒せる、チート能力を持った主人公なんて存在しません。
カドルステイト物語での戦闘は、一人では何も出来ない不完全な人達がパーティを組 んで、各々が得意とする役割りをこなす事で成り立っています。実は本作の戦闘シーンは、その時その時の全員の動きをタイムテーブルにのせ、キッチリと計算した上で文章に書き起こしています。
それは味方側だけでなく、敵側も同様。距離や位置、範囲等、TRPGの戦闘を忠実に再現し、各ターン毎に全員が必ず何かのアクションを起こす連動的な戦闘シーンは、恐らく他のファンタジー小説ではあまり見られなかった、カドルステイト物語の見どころのひとつです。
本作の見どころ3
結果だけを追い求めない、
その過程の中で繊細に描かれる心理描写
奇跡は人を追い詰めない。人を救う為に奇跡が起こる、幻想的なファンタジー
本作で深く掘り下げるのは、戦いや、それによって得られる成功や失敗などといった結果よりも、登場人物がその過程で何を思い、考え、感じたか? という心理描写に重きが置かれています。
それは決して、世の中の不条理や人の暗い感情をいたずらに揺り動かそうとするものではありません。カドルステイト物語では心理描写において、あくまで人の心の美しさを表現しようとしています。
もともとファンタジーと言えば、古来よりそういった美しい物語が紡がれてきました。それは、古いファンタジー作品で描かれる事の多かった、非現実的が故に幻想的な、或いは児童文学的な、まるでおとぎ話のような美しい物語です。
かつて、多くの子供達を魅了した古き良きファンタジー。今ではその子供達も大人になり、社会に出てそれぞれの立場でご活躍されている事と思います。そんな古き良きファンタジー好きの団塊ジュニア世代を主なターゲットとしながらも、もともと若者向けに書かれている本作は、大人だけでなく、今の若い人達にもぜひ読んで欲しい作品です。近年では殆ど見られなくなってしまった、普遍的な美しいファンタジーの一端を、本作から感じて貰えれば幸いです。
一冊15万文字前後の、全七巻に渡る長編小説カドルステイト物語。TRPGのシナリオをベースにした剣と魔法のファンタジー小説です。よろしければ是非、ご一読下さい。
bottom of page