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​国家
都市国家リート

​都市国家リート

​(知恵の神ラークの聖地がある大都会)

本拠地:リート

統治者:リスト大司教

正規軍:リート神聖騎士隊

冒険者:騎士・神官が多い

主産業:宗教・観光・芸術・建築・流通・海運・商業・盗賊団・傭兵隊などの軍事産業

その他:フレニアス連合加盟国

​自治権をもつ都市国家

都市国家リートは、ファルファデラで最も大きな都市のひとつで、その大規模な街そのものが、ひとつの国として自治権を持っている、パルスタリオン大陸では珍しい国である。フレニアス連合に加盟している連合四カ国の中で、もっとも(面積的に)小さな国にして、もっとも人口が多い。

普通の国なら、王族が世襲によって王位継承権を引き継いでいくが、都市国家リートには王族が存在しない。知恵の神ラークを信仰する教会の本拠地とも言えるリート大聖堂には、非常に多くの司祭が仕えており、

その中でもっとも権威ある『大司教』の座にある者が、都市国家リートを統治している。「神の前では人間は誰もが平等である」と説くラーク神の教義に則り、この国には貴族位が存在しないのである。

 

だが、大聖堂に仕える司祭達は、他国の貴族階級のそれよりも厳格なピラミッド型の階層的組織構造に縛られており、最高権威である大司教になる為には、他の多くの司教達の支持を得なければならない。実態は、神の教義通りとはいかないようである。

​歴史・沿革

街の中心に聳える巨大な宗教的建造物『リート大聖堂』は、世界的にも有名な都市国家リートの象徴とも言える存在である。しかし450年前、この大聖堂はまだ小さな教会に過ぎなかった。かつてリートは、カスタリア王国(現在のカシート王国)の東に位置する小さな港町だったが、ジアンティス帝国の支配域にあり、当時この地を治めていたアベル総督の圧政に苦しめられていた。そんな中、リート市民は知恵の神ラークの教義を心の拠り所とし、教会に集まっては互いを励まし合い、耐え忍んでいたという。

この小さな教会に集まったラーク神の敬虔な信者達が、ひっそりと立ち上げた『リート聖教団』という名の小さな宗教団が、都市国家リートの前身である。当時はまだ国と呼べるような存在ではなかったが、このリート聖教団の発足が、現在ファルファデラで広く用いられている年号、『リート暦』の元年とされている。

支配者に絶対の忠誠を強いるジアンティス帝国の法に苦しめられていたリート市民は、知恵の神ラークの教義をもとに自分達にとって理想的な法をつくろうとした。当初それは、あくまでリート聖教団という小さなコミュニティの中でしか通用しないローカルルールに過ぎなかったが、やがてリート聖教団の噂は、同じくジアンティス帝国の圧政に苦しめられていた周辺の街や国にも広がっていくことになる。

リート暦22年。ジアンティス帝国の執拗な侵攻によって隣国カスタリア王国の首都カスタンスが陥落すると、リート聖教団はアベル総督の目を掻い潜り、カスタリア王家の亡命を裏で手引き。これによってリート聖教団は、カスタリア奪還という大義名分を得ると共に、これを利用してリートをジアンティス帝国の圧政から解放することを画策し始める。その後も戦火を逃れてカスタリア王国から流れ込んできた難民を受け入れて信者に加えることで、リート聖教団は更なる人口(信者)の増加と共に、徐々に力を蓄えていった。

リート暦27年。ついにリート聖教団は立ち上がる。武装は充分ではなかったものの、数をもってジアンティス帝国軍を圧倒。アベル総督は敗走の途につくことになった。その後、カスタリア亡命王と共に王都カスタンスを奪還すると、リートは都市国家として自治権を認められ、小さな宗教団のローカルルールに過ぎなかったリート聖教団の法は原型をそのままに、新しい国の法へと昇華することになったのである。

時代の移り変わりと共に、ラーク神の信者は更に増加。ファルファデラでは現在、もっとも多くの人間が知恵の神ラークを信仰している。その影響か、都市国家リートには信者のみならず、巡礼者や旅行客が世界中から自然に集まり、今もなお発展を続けている。こうして、狭い面積の小さな国でありながら、膨大な人口にまで膨れ上がった都市国家リートは栄華を極め、現在の姿に至ったのである。

​法・政治

特徴的なのは、やはり国の法が知恵の神ラークの教義をもとに定められていることだろう。ラーク神の信者でない者が客観的に見ても、その法は厳粛かつ公正なものである。その法こそが、都市国家リートを支える背骨であり、過密な人口と街の規模の割に、治安の良い都市国家として世界に名を馳せるまでに至っているのは、誰もが認めるところである。

しかし、神話の世界ならいざ知らず、人の世というものは白黒キッチリ付けられるものではない。高過ぎる理想は、時に歪みとなって顕れる。厳格なラーク神の教義をもとにつくられた都市国家リートの法は、時にそれ自体が空文化してしまったり、大司教の裁量に委ねられている部分が多大にあり、その危険性を指摘する法の専門家も居るという。​

もうひとつ、都市国家リートが他国と大きく異なっている点は、その政治を執り行っているのが王族ではなく、リート大聖堂の大司教だということだろう。聖職者達にとって、世界に点在するラーク神の教会の中でも、聖地であるリート大聖堂に仕えることは誉れ高きことであり、その大聖堂に星の数ほど居る聖職者達の頂点が、リート大聖堂の大司教なのである。現職の大司教はリストという名の初老の男性で、彼には他国の

王族と同等か、それ以上の強い権限が集中している。宗教の政治介入は、神の教義に基づく厳格な法のもとに執り行われるという意味で信者達にとって信頼性が高いものの、重大な弊害もある。それはリスト大司教の言葉が信者にしてみれば神託にも等しく、彼を知恵の神ラークの代弁者と捉えてしまう者が多い事である。この事は即ち、リスト大司教の考えに異を唱えられる者が極端に少ないことを意味しているのだ。リスト大司教自身も、そのことをよく理解しているのだろう。彼は自分に集中している強い権力を最大限に活かし、ラーク神の名のもと他国の政治に介入することがよくあった。通常なら他国への政治干渉だが、リスト大司教のそれは(主に連合圏内では)容認されている向きがあった。

最近では、フレニアス連合四カ国の共通の法として、都市国家リートの法を適用することが検討されている。この連合が、単なる多国間同盟の枠を超え、フレニアス連合というひとつの大きな国と捉えようとする試みだったが、その意図は大司教に更なる強い権限を集中させようとする権力主義に他ならない。四つの国によって構成された大きなひとつの国として、四カ国共通の法をラーク神の教義をもとにした都市国家リートの法とする、まったく新しい国の制度が、今形作られようとしていた。

​首都・都市

​首都リート

都市国家リートは、この大きな都市自体が自治権をもったひとつの国であり、即ちリートが首都である。リートは、ファルファデラでも三本の指に入る人口規模をもった大都市で、昼間は大聖堂と産業区、港に多くの人が溢れ返り、夜には繁華街の明かりが絶える事のない、まさに昼夜問わず賑わう大都会である。リートは約500年の古い歴史を持つ都市だが、隣国カシートの首都カスタンスには及ばない。リートの街並みは古い歴史を反映してか、新旧入り乱れた建造物の波が街全体に広がり、大きさや高さにもムラがある。街全体に張り巡らされた通路はやや狭く、

騎馬隊が通る際は通行人が左右に分かれて道を空けなければ通れない。また、地図に載っていない細い路地も多く、一日中陽の当たらない路地裏のどこかには、盗賊団の隠れ家もあるという。リートは全体的にほぼ平地となっているが、中央部にはやや小高い丘陵地帯があり、その起伏に沿って水路が整備されている。

​都市(なし)

都市国家リートは、リートの街自体が自治権をもったひとつの国である。即ち、他の主要都市は存在しない。

​象徴・名所

​リート大聖堂

都市国家リートの主要な建造物・施設としては、まず第一にリート大聖堂が挙げられるだろう。リート大聖堂は、都市国家リート繁栄の歴史と共に歩んできたリート市民の誇りであり、象徴と言っても過言ではない。リート教会は当初、街の中にひっそりと建てられていた小さな教会に過ぎなかったが、ジアンティス帝国の支配域からこの地を解放する戦いにおいて焼失。その後、リート聖教団が勝利を収めると、丘陵の中腹にあったアベル総督の城館に火を放ち、その跡地に芸術的かつ巨大な教会が建てられた。こうして造られたリート大聖堂は、帝国に勝利した証として、リートの象徴的存在になったのである。それは、ジアンティス帝国の総督を受け入れる場所など、もはや残されていないという、リート聖教団の強い意志表明でもあった。リート大聖堂が完成すると、焼失したリート教会の機能は全てそこに纏められ、現在に至っている。このような歴史的背景からか、リート大聖堂は現存する世界中の教会の中でも最も格式の高い由緒正しき教会とされ、そのことはラーク神の教義に触れたことのある者なら成人から子供に至るまで、誰でも知っている常識にまでなっていた。また、知恵の神ラークは、この世界で信仰されている七柱神の中心的な立場にあり、「主神」とも呼ばれている。この事からも、神の教えたるものは、すべての起源をリート教会に遡ると考える宗教家も多いようである。

リート大聖堂は、街の中心にある小高い丘陵の南東側斜面に位置し、南西の繁華街、南東のリート港、そして北西のフレニアス公国へと続く街道と繋がっている。リート大聖堂とそれぞれの通りを結ぶ境界線には、巨大な城門のような古い建造物があり、市民はこれらを『凱旋門』と呼んでいた。どの通りから大聖堂に入る場合でも、必ずこの凱旋門をくぐる必要があり、有事の際には凱旋門の上部に弓兵が控える仕組みになっているのだ。これによってリート大聖堂は、宗教的な建造物でありながら、まるで大きな城のような堅い護りを誇っているのである。

この凱旋門をくぐると、よく手入れの行き届いた大きな広場になっており、通常時は一般市民にも解放されている。この大聖堂前の大広場は、他国で言うところの王城の庭園のような存在で、敷き詰められた石畳の間に設けられた植え込みに草花が植えられ、四季の移り変わりを楽しむことができる。大聖堂の東西南北には人口池が造られ、それらは海へと続く水路に繋がっている。また、この広場には大聖堂を取り囲むように六体の彫像が並んでおり、それぞれこの世界で信仰されている七柱神の内の六体がかたどられている。なお、七柱神の中でも主神とされるラーク神の彫像はこの広場に置かれていないが、大聖堂の内部、大礼拝堂の祭壇の奥に安置されている。

リート大聖堂の内部一階中央にはメインとなる大礼拝堂があり、それとは別に右手側に小さな礼拝堂が三つある。通常時であれば、これらの礼拝堂は一般開放されており、大聖堂が開いている時間であれば、誰でも神の教義に触れられるよう考慮されている。一方、中央礼拝堂に向かって左手側には細い通路に繋がる扉が点在しているが、こちらは一般開放されておらず、その中がどうなっているのか内部の人間以外にはあまり知られていない。この扉の先は聖職者達の宿舎や食堂などの居住空間に繋がっているのだ。この居住空間は積層構造になっていて、一階が男性、二階が女性に分かれている。なお、この二階部分は完全に仕切られていて、別の階段からシスター達の居住空間に入ることは出来ない。また、一階の居住空間からは大礼拝堂の祭壇奥側へと回り込めるが、この奥の区画は司教以上の聖職者しか立ち入ることが出来ない。

フレニアス連合が発足して以降は、大聖堂裏手に残されていた丘陵地帯の一部を新たに開拓し、そこに連合所属の騎士隊が駐留できる宿舎や厩が建てられた。これらは非常に大規模なもので、有事の際には傭兵隊の詰め所としても利用できるようになっている。

​リート監獄

厳格なラーク神の教義に基づいて、法を犯した者を裁いている都市国家リートでは、罪人を更生させることにも力を注いでいる。都市国家リートの法は、この大規模な都市の治安を維持するのに役立っているが、法の存在だけでは治安の乱れを制御することは出来ない。罪人達を収監するリート監獄は、他に類をみない非常に大規模なものである。

元々この監獄は、リートがまだジアンティス帝国の支配域にあった時代、アベル総督が市民に恐怖政治を浸透させるために造らせたものだが、それを更に増築して現在も運用されている。リート市街地からやや離れた丘陵地帯の奥に建てられたこの監獄は、外郭の高い塀はさることながら、建造物自体も内側に閉じた構造で、500年の歴史の中で未だに脱走者を許していない。ラーク神は、懺悔を乞う咎人には赦しの機会が与えられるべきと説いているが、改心の見込みがない者には容赦なく、帝国支配時代に使われていた拷問室や死刑執行台が用いられるという。

産業・​文化

開拓時には海に面した立地から、港町として栄えていたリートだが、都市化に伴って漁業や農業などの一次産業は徐々に衰退。かつて造船業も盛んだった港も、今では人や物の出入りといった海運業が主となっている。

代わりに宗教活動や観光、建築、芸術などといった人間を相手にする産業が発展。多くの宗教家や芸術家が集い、それぞれの活動に忙殺している。主神の聖地であるリートには、ラーク神の信者のみならず、他宗派の聖職者もよく巡礼に訪れる。一方芸術方面では彫刻、造形、建築技術に偏っている傾向で、音楽や演劇など芸能関係に従事する者は殆ど見られない。

リート教会は国の正規軍として、よく訓練された神官戦士によって構成されているリート神聖騎士隊を擁しているが、実戦経験に乏しく、その数も他国のそれと比較すると少ない。この現状を補う為に、リートにとって傭兵隊の存在は必要不可欠であり、今や傭兵隊も都市国家リートを支える立派な産業の一部とされていた。そのぶん、教会に寄進された金の多くが、この国を護る為に雇われた傭兵隊に流れているのではないかとも言われている。また、事実関係は不明だが、リート教会は裏で盗賊団を組織し、ラーク神の教義では折り合いの付かない汚れ仕事を請け負わせているらしいと、まことしやかに囁かれている。

​気候・風土

リートはフレニアス湾の南に突き出したリート半島に位置する都市である。気候は一年を通して比較的穏やかで、温暖な気候が特徴。決まった雨季は無く、冬にまとまった雨が降ることが多いが、降雪を記録することは滅多にない。中間期は湿った空気が南海から流れてくるが、夏場は日差しが強く乾燥し易い。大雨や暴風雨、雷、地震などの自然災害も少なく、人間にとって住みやすい環境といえるだろう。

​人物・作品

・​リート出身の登場人物

・​リートが舞台となる作品

フレニアス連合

​フレニアス連合

​(フレニアス湾沿い四カ国による共同体)

< 連合加盟四カ国 >

・都市国家リート

・フレニアス公国

・カシート王国

・マイトアレーヌ王国

< 連合概要 >

・軍事連合

  リート神聖騎士隊(都市国家リート)

  アディーラ騎士隊(フレニアス公国)

  ブランアーノ騎士隊(カシート王国)

​  サイノフ騎士隊(マイトアレーヌ王国)

・経済連合

  往来の自由

  関税の撤廃

​四つの国を大きな一つの国とみなす協力関係

都市国家リート、フレニアス公国、カシート王国、マイトアレーヌ王国からなるフレニアス連合は、ジアンティス帝国、ルブーラム帝国、そして魔法王国テロメニアといった周囲の驚異に対して協力し合い、また、帝国支配域にあるリグラット王国(リドネス)の解放を目標に結成された、軍事的、経済的な同盟連合である。

軍事面では、各国の正規軍である騎士団の名称を騎士隊に変更し、それぞれをリート教会の祝福のもと『フレニアス聖騎士団』と称して軍を統

括。有事の際にはこの『フレニアス聖騎士団』に属する四つの騎士隊、即ち、都市国家リートのリート神聖騎士隊、フレニアス公国のアディーラ騎士隊、カシート王国のブランアーノ騎士隊、マイトアレーヌ王国のサイノフ騎士隊は協力して戦闘に参加、対処することが義務付けられている。

また連合四カ国は経済的にも協力関係を結び、往来の自由、関税の撤廃などが行われている。

​歴史・沿革

かつてパルスタリオン大陸の大部分を支配域においていたジアンティス帝国。その圧政からの解放に立ち上がったリート聖教団は、リート暦27年。アベル総督との戦いに勝利し、一時は帝国に滅ぼされたカスタリア王国の王都カスタンスを奪還。カスタリア亡命王は帰還王として祖国を取り戻し、新たにカシート王国として蘇った。

カシート王は、王都カスタンスの解放に協力したリート聖教団に対し、彼等の本拠地である港町リートを自治権のある特区に認定。これによって都市国家リートが誕生する。しかしジアンティス帝国はその存在を否定。カスタンスとリートを奪還する為にカシートの都市トレアークを攻め落とし、再三に渡ってカスタンスに侵攻。これに対しカシート王国と都市国家リートは共同戦線を張り、帝国の侵攻を退けたという。これが、現在のフレニアス連合の理念の原型とされている。

その後、都市国家リートとカシート王国は更に勢力を伸ばし、帝国の支配域にあったマイトアレーヌとザンターグルを次々に解放。帝国が再び支配域を広げてしまわないよう、当時まだ未開の地だった山岳地帯パネスティアに、リグラット王国を建国すると、ガルフィン神を信仰する高位の司祭でもあったライネック公爵を、その領地支配者に据えた。やがて、パネスティア山脈に金を含む鉱脈が発見されると、リグラット王国は大いに繁栄することになったが、しかしリグラットの王ライネックは争いを好まない性格で、絶大な経済力を手にしても自国の領土や権益を拡大することには消極的だった。代わりに高い爵位をもつ者に未開拓の領地を与え、アラティア王国が建国される。​(クラティア王国もリグラット王国から派生した国で、フレニアス公国の建国後に開拓された)

こうして栄華を極めていったリグラット王国と、そこから派生したアラティア王国だったが、この大規模な開拓によって、元々その地に居を構えていたエルフ、ドワーフ、ロイトンといった亜人種達は、住処を人間に奪われてしまう。これに心を痛めたライネック王は、鉱山の採掘をやめはしなかったものの、里を奪われた当時のロイトンの族長リテーエンスに、フレニアスの森を提供することを約束し、そこを保護森林に指定。その後、フレニアスにも人間の国が興ることになったが、この保護森林はライネック一世の名のもとに現在も護られ続け、人間とロイトンが共生する今のフレニアス公国が形作られていく事になった。

一方、リグラットで見付かった金脈をジアンティス帝国は見逃さない。ほぼ全ての支配域を失っていたジアンティス帝国だったが、水面下で着々と侵攻の準備を整えると、リート暦439年。リグラットの奪還に乗り出し、パネスティア城を攻め落とした。リドネスが陥落すると、リグラットは再び帝国の支配域となったが、その際ライネック四世は古い友でもあるロイトン族の手引きによってフレニアスに亡命。これを受けて都市国家リート、フレニアス公国、カシート王国、マイトアレーヌ王国はフレニアス連合を結成し、リドネスを再び帝国の支配域から解放することを当面の目標に、軍事的、経済的な協力関係を敷くことになった。

連合四カ国は、必ずしも一枚岩とは限らない。各国が国益の為に連合を利用しているというのが実際のところであり、連合四カ国は表向き対等な立場としながらも、それぞれが大きな利益を得られるよう、水面下で激しい駆け引きや根回しといった政争が渦巻いている。

​法・政治

フレニアス連合は、その前身とも言える都市国家リートとカシート王国が協力してきた歴史は長いものの、連合自体は発足13年とまだ新しく、現時点ではまだ、明確な法が定められていない。ひとつだけ確かなことは、フレニアス連合圏内で絶大な信仰を得ている主神ラークの教えを基に、諸問題に対処していくという事のみである。人はみな、神の前では平等であると説くラーク神の教義に基づき、連合四カ国は軍事力や経済力の差に関係なく対等とされているが、実際には国力の差が発言力の差に繋がっている。水面下では各国がより優位な立場に立とうとする駆け引きが行われ、明確な法が定まらないまま現在に至っている。

現時点では、主神ラークの教義を基に定められている都市国家リートの法を、フレニアス連合共通の法に適用する案が有力とされているが、これもまた、都市国家リートを優位な立場に立たせようとするリスト大司教の私見であり、まだその施行にまでは至っていない。何よりもネックになっているのは、人間に不平等を生じさせる制度でもある貴族や王族の存在が根底から否定されてしまうこと。リートでは高位の司祭ほど地位が高いが、連合国が全てリートの法に倣うと大きな歪が生じてしまう。これに対応する為には、ラーク神の教義と各国の法制度との辻褄をうまく合わせる必要があるが、今のところその妙案は示されていない。

四カ国による連合は、ジアンティス帝国やルブーラム帝国といった周辺国の驚異に対抗するという意味では高い効果を発揮しているが、様々な問題に対処する際、その意思決定に長い時間を要してしまうという欠点も指摘されている。明確な法が定まらないまま現在に至っている実情が、それを裏付けているとも言えるだろう。

連合四カ国は、それぞれの内情により、連合に加盟するメリットとデメリットに違いがある。

・都市国家リート

メリット:ラーク神の聖地であり、国の法がラーク神の教義に基づくものでもある為、連合でもっとも強い発言力を持っている。

デメリット:もっとも人口が多く、強い経済力を持つが故に、他国を支援しなければならない立場にあり、経済的な恩恵はほぼ見込めない。

・フレニアス公国

メリット:浅い歴史を盤石なものにできる。ライネック四世の亡命先であり、リドネス解放の暁には、大きな見返りが得られる可能性が高い。

デメリット:連合の中でも最強と謳われるアディーラ騎士隊を擁する。そのぶん、他の三国に比べて軍事的な負担は重い。

・カシート王国

メリット:連合四カ国の中で最も帝国に近く、帝国の侵攻を真っ先に受けるため、連合の後ろ盾は心強い。また、経済的な支援を受けている。

デメリット:農業や漁業が主な産業であるカシートは、他の連合加盟国に対して、常に貿易赤字を抱えている。

・マイトアレーヌ王国

メリット:ルブーラム帝国の驚異に対して、連合として対処できる。

​デメリット:ルブーラム帝国は長く息を潜めている。実質戦争とは無縁にも関わらず、ジアンティス帝国との戦いに加勢しなければならない。

​フレニアス公国

​(最強の騎士隊を擁する新興国)

フレニアス公国

本拠地:フレニアス

統治者:プレディウス

正規軍:アディーラ騎士隊

冒険者:騎士・神官が多い

主産業:宿場・商業・流通・海運・宗教・観光・工業

その他:フレニアス連合加盟国

亜人種と共生する新興国

フレニアス公国は、リグラット王国から派生した三つの国の内のひとつで、パルスタリオン大陸の中でも二番目に新しい国である。国土の大部分は森林地帯となっているが、このフレニアスの豊かな森は、リグラットの建国王ライネック一世と亜人種であるロイトン族との古い盟約により保護森林に指定され、今でも開拓が禁止されている。

フレニアス公国が他の人間の国ともっとも異なる点は、この古い盟約が今も守られ、人間と亜人種であるロイトン族が共生していることだろう。かつてリグラットの大規模な開拓によって住処を追われたロイトン族に、ライネック一世が移住先として用意したフレニアスの森は、もともとロイトン族しか住んでいない未開拓地だった。しかし都市国家リートとマイトアレーヌ王国、そしてリグラット王国との中間地点に位置するフレニアスは、やがて旅人が足を休める宿場として発展。そのうち交易が盛んな商業地として人間の街が築かれ、そこに国が興ることになる。しかしここに興った国は、そういった歴史的背景を鑑み、人間の王による王国ではなく、人間とロイトンによって統治された公国という特殊な形をとり、ロイトン族の領域を侵すことなく、彼等と共生する道を選んだのである。

また、交易地として発展した新興国であるフレニアスには、汎ゆる分野の新しい技術が集中している。最新の設備を揃えたフレニアスの工業区では、最新の鍛冶技術が取り入れられた優秀な武器や防具が量産され、フレニアス聖騎士団の中でも最強と呼び声高い、アディーラ騎士隊の強さを下支えしている。

この地に住むロイトン族は、もともとラーク神を信奉する敬虔な聖職者が多く、彼等がこの地に築いたフレニアス教会は、その象徴的な存在である。今もロイトンの大教主がこの教会を運用し、神の前では亜人種も人間もみな平等と説くラーク神の教義に則り、あとからこの地に集まってきた人間達にも、ロイトンと同じく平等に神の教義を説いている。人間もまた、ロイトンが造ったこの教会に定期的に礼拝することで、フレニアスにおけるロイトンとの共生関係を良好なものにしている。しかし多くのロイトン達は森の奥に隠れ潜み、あまりフレニアスの街に現れることはない。彼等は街に足を運んだとしても、被り物をして額の眼を隠す者が多く、ロイトンであることに気付くのは難しい。フレニアス教会にいる聖職者を除き、人間と積極的に交流を図る社交的なロイトンは、極めて稀である。

​歴史・沿革

フレニアス公国の歴史を解説する為には、まずリグラット王国の歴史に触れなければならない。もともとジアンティス帝国の支配域にあったこの領域は、どこまでも続く深い森と、河口付近の中洲に広がる湿地帯しか無い未開の地だった。しかしザンターグル王国とマイトアレーヌ王国からジアンティス帝国が撤退した後、フレニアスの北西に位置するパネスティアと呼ばれる山岳地帯に、緩衝地帯としてリグラット王国が建国されると、大きく状況が変化していくことになる。カシート、マイトアレーヌ、リグラットの中間地点に位置していたフレニアスは、条件の悪い湿地帯でありながら、旅人が足を休める宿場として徐々に発展し始め、やがてこの地で盛んに交易が行われるようになったのである。

一方、リグラットの開発が進んでいくと、パネスティア山脈に金や銀を含む鉱脈が発見され、大勢の人間達がなだれ込んだ。これらの資源は、当時まだ新興国だったリグラットに巨万の富を齎したが、人間の欲望はとどまるところを知らず。パネスティアの山々は、新たな鉱脈を求める人間達によって掘り起こされ、開拓の速度は加速する一方だった。

しかし、こうしたリグラット王国の急速な発展は、元々パネスティアで部族を形成していたエルフ、ドワーフ、ロイトンといった亜人種達の住処を奪うことにも繋がっていた。人間を嫌っていたエルフ達は、何も言わずに黙って部族の拠点を北に移した。ドワーフ達はルブーラムにある同種族の王国を目指してこの地を立ち去る者と、そのまま人間社会に馴染み、人間と共に鉱脈を掘る者に分かれた。一方、温厚で知性的なロイトン族は、人間の王との交渉を試みる。当時ロイトン族の族長だった大

教主リテーエンスは、リグラットの王ライネック一世に、開拓の中止と鉱脈の閉山を要請したのである。

ガルフィン神を信仰する敬虔な司祭でもあったライネック一世は、リグラットの開拓によってロイトン族が住処を奪われてしまっていたことを知ると涙を流し、人間の王である自分に直接交渉しにきたリテーエンスの勇気ある行動に深く感銘を受けたと言われている。しかしリグラットの経済は、既に鉱山から掘り起こされる金や銀に支えられていた為、ライネック一世は要望通り閉山には踏み切れなかった。そして考え抜いた末に出した答えが、ロイトン族に安住の地を提供することだった。ライネック一世は、それでもロイトン族に移転を強いなければならないことを引け目に感じ、その償いとして移転先の森を保護森林に指定し、今後絶対に人間はその森を侵さないと約束した。こうして約束された地が、リグラットの南東部に位置するフレニアスだったのである。

当時、未開の地だったフレニアスは、どの人間の国にも属しておらず、深い森と雨の多い湿地帯といった地理も手伝って、新たな人間の街が築かれることも無いと考えられていた。こうしてロイトン族はフレニアスの森に移り住むことになったが、その後、交易の中継地点として河口付近の宿場が発展し、更にフレニアス公国が建国されることになった。しかしこの国は、人間の王が治める『王国』でなく、人間とロイトンが共生する『公国』として築かれ、リグラット初代王ライネック一世が約束したフレニアスの保護森林は、今も護られ続けているのである。

​法・政治

フレニアス公国の法は、リグラット王国で採用されている一般的な形式をベースとしつつも、特徴的な要素が幾つか追加されている。アラティア、フレニアス、クラティアの三国は、もともとリグラット王国の有力貴族に与えられた領地が発展した国である為、法の基本的な部分はリグラット王国に準じている。しかしフレニアス公国のそれは、人間のみならず、亜人種であるロイトン族もフレニアスの国民と認め、彼等にも市民権が与えられている部分で大きく異なる。この国を、人間の王によって治められた「王国」ではなく、人間とロイトンによって統治された「公国」としたことが、それを何よりも象徴していると言えるだろう。

フレニアス法では、ロイトン族が人間と平等・対等な立場であることを保証し、種族的なそれらの差別を一切禁じている。また、ライネック一世との古い約束を遵守し、多くのロイトン族が住んでいるフレニアスの森を侵すことを固く禁じ、これを国際的に認めさせている。この二つの項目は、他国では見られない異例なものであり、人間とロイトン族の共生を図ろうとする人間達の配慮と努力の賜物だった。​

しかしこういったフレニアス独自の法は、ロイトン族にとって、森の保護という観点では大きな意味をなしているものの、ロイトン族を国民の一員と認め、市民権を与えるという法に関しては、実際にこの恩恵を受けているロイトンは極々一部であると言わざるを得ないだろう。彼等は基本的に人間との接触を嫌い、あまり表に出てくる事がないのである。

それはかつて、ロイトン族の神秘的な力を忌み嫌った人間達による「ロイトン狩り」が行われたという歴史から、彼等が人間を嫌い、或いは避けているという要素も拭い切れないが、もともとロイトン族は内向的な性格の者が多く、あまり積極的に人間と交流を持とうとしないという、人間との価値観の違いに依る部分が何よりも大きかった。唯一、人間と接触する機会の多いフレニアス教会に仕えるロイトン達には、司祭、教主、大教主といった特別な地位が与えられていたが、ロイトン達はそれら人間から与えた地位にあまり価値を感じていない。その他のロイトン族はそもそもどこに住んでいるのか、その住居すら分からず、或いは街に住んでいるロイトン族にしても、人間に成りすまして普通の生活を営んでいる者ばかりで、この法が意味をなす事は殆どなかったのである

また、リグラットではライネック王家をはじめ、幸運の神ガルフィンを信仰する者がもっとも多かったが、フレニアスでは知恵の神ラークを信仰する者の数の方が多い。これは、フレニアスに移り住んだロイトン族の司祭がラークを信仰していたことに起因しているが、本来ファルファデラで信仰されている七柱神は多神教であり、他の力を司る神や、その信仰を排除しようとすることは滅多に無い。だがリグラットからフレニアスに移り住んできた人間達は、先に此処で居を構えていたロイトン達の信仰を尊重し、ガルフィンからラークに改宗した者が多かったという。これは決してフレニアスの法で定められたものではなく、あくまで個人の自由選択であった。

宿場として栄えたフレニアスは、リートとマイトアレーヌ、そしてリグラットを結ぶ中継点に位置している。『中洲の都フレニアス』という呼称が示す通り、この地はもともと広大な湿地帯で、幾本もの大きな川が海に向かって流れ込んでいた。ロイトン族が建設したフレニアス教会は、その湿地帯と北に広がる森の境界線に建てられていたが、その後、人間達がここを宿場として開拓し始めた際、湿地帯を埋め立てることでフレニアスの保護森林を護りつつ、新たな街を築き上げた。

この歴史が示す通り、首都フレニアスには多くの中洲があり、その中州に建造物が点在する美しい都である。街に掛かった橋の数は、カシート川に沿って栄えているカシートの首都カスタンスよりも多い。そんなフレニアスだが、建造物の中でも特に多いのは、中洲に多く乱立している宿屋だろう。港近くの宿屋には娼館も多く立ち並び、船乗りや旅人達の疲れを癒やす施設が軒を連ねている。また、フレニアスの建造物の特徴として、そのほとんどが一階に居室が無いことが挙げられる。フレニアスは雨が多く、もともと湿地帯だった影響もあってか湿気が多い。そのため、建物の多くは一階を物置き、倉庫、厩などに用い、二階より上の階層に居室が設けられているのだ。フレニアスの建物が、他の都市と比較して高いものが多く見られる所以である。

フレニアスは歴史の浅い新しい国だが、連合国間は人の往来が自由なこともあり、リートやマイトアレーヌから多くの人材と物資が集中している。特に最新の設備と技術を取り入れた工業区から生み出される武具は、連合最強と謳われるアディーラ騎士隊の強さを底支えしている。

​首都フレニアス

​首都・都市

フレニアス唯一の都市ノーブは、フレニアスの東に馬車で三日ほど進んだ場所に築かれた、都市と呼ぶには比較的小さな街である。ここから更に東に進めば、マイトアレーヌ王国の国境を越え、その首都マイトアレーヌに繋がっている。また、北に伸びる新しい街道「沈黙の街道」は、森を突っ切って山道に繋がり、クラティアへの抜け道になっている。

本来、フレニアスの森は開拓を禁じられた保護森林に指定されているが、13年前ジアンティス帝国がリグラットのリドネスを陥落させたことで、フレニアスとリドネスを結ぶ大街道は事実上封鎖されてしまった。これによってフレニアス連合四カ国をはじめ、パルスタリオン大陸南側に位置する国々から、北方のアラティア、ディクトリア、アルギニアに行く為には、マイトアレーヌ王国を経由して大きく迂回しなければならくなった。この迂回路を最小限に抑える為に、10年前、フレニアスとクラティアを結ぶ小さな街道が新しく切り開かれたのだ。ノーブは、その中継点に新たに築かれた都市である。

しかし本来、フレニアスの森は、ライネック一世とロイトン族の古い盟約によって開拓が禁止されている。ノーブと、その北に築かれた新しい街道は、その約束を反故にするものに他ならなかった。だが、人間の政治に関心を示さないロイトン族は、この人間の行動を特に咎めることはなかったという。また、この開拓によって被害を受けたというロイトン族も報告されていない。この街道は、周辺の森を極力破壊しないように細心の注意を払って造られたが、ライネック一世とロイトン族の古い盟約を破り、フレニアス法にも抵触すると指摘する専門家も少なくない。

​都市ノーブ

​象徴・名所

​フレニアス宮殿

フレニアスの象徴的な建造物として真っ先に挙げるべきは、もっとも大きな中州に建てられたフレニアス宮殿だろう。規模はそれほど大きくはないものの、最先端技術が取り入れられた実用的な設計かつ、華やかで芸術的な宮殿としても知られている。特に、水の雫のような形状をしたドーム状の屋根は、東の大国ルブーラムの文化の影響を受けているとも言われているが、その真相は定かではない。

フレニアス宮殿は、あくまで国の政を司る建造物であり、ここで働いている大臣、文官、衛兵、騎士、貴族、そして王族に至るまで、彼等の居住区をこの宮殿内には設けていない。大臣や文官は執務を終えると各自の自宅に帰り、貴族や王族も宮殿とは別の場所に館を構え、騎士の詰め所や兵舎はおろか、賓客を迎え入れる居室さえも宮殿内には存在しないのである。(それら貴族や賓客御用達の宿なら数多く存在している)

これはフレニアス法において、人間とロイトン族が対等・平等な立場であることを示す為に、あえてそのような造りにされたと言われている。宮殿に務める人間が、その居を宮殿内に設けてしまうと、彼等だけ特権階級であるかのようになってしまうからだ。フレニアス教会で教義を説くロイトン族の司祭や教主も、執務の際には他の人間と同じように、この宮殿に足を運ぶのである。

​フレニアス教会

フレニアス教会は、質素な造りの古い木造建築物である。リート大聖堂には及ばないものの、ファルファデラに点在する教会の中でも歴史ある由緒正しき教会で、フレニアス公国を象徴する建造物のひとつである。ライネック一世により、フレニアスをロイトン族の安住の地として指定された際、当時のロイトンの大教主リテーエンスは、まずこの地に小さな教会を建てたと言われている。即ち、フレニアス教会は最初から今の大きさではなかったのだ。しかし人間がこの地に流れ込み、交易地として栄え始めると、ロイトン達の多くは人間を避け、森の奥にその姿を隠した。が、ロイトンの司祭達はフレニアス教会を人間にも開き、彼等にもラーク神の教義を説いたという。やがて、ここに人間の国が興り、更に多くの人間が教会に通うようになると、フレニアス教会は増改築を繰り返し、今の大きさにまで至ったのである。

リドネス陥落後、フレニアス教会はリグラット王家ライネック四世の亡命先としての役割も果たするようになる。これはライネック一世がロイトン族と縁深いことに起因していたが、連合にフレニアスの名を冠することを、リート教会は内心快く思っていなかった。しかしこの連合の大義名分が、あくまでリグラットの亡命王ライネック四世の帰還であることから、その王の亡命先であるフレニアスの名が取られたという。

​フレニアスの宿場

『中洲の都フレニアス』の名を確固たるものにしているのは、フレニアス宮殿やフレニアス教会といった、象徴的な建造物では決してない。細かく分かれた川に掛けられた様々な形状の橋と、その中州に建てられた背の高い美しい宿屋の数々が、このフレニアスを独特な美しい風景に彩っているのである。

もともと街道の中継点に築かれた宿場として栄えたフレニアスは、その建物の造りのみならず、サービスや食事など様々な面で宿場としてのレベルが高いと言える。地区(中洲)によってその格に差があり、港に近いエリアは比較的安価で庶民的な宿屋が集中し、森に近付くにつれ見晴らしの良い格の高い宿屋になっていく。王族や貴族御用達の宿屋は、宮殿から教会の間に多く密集している。

​ロイトンの集落

フレニアス教会の北。フレニアスの国土の大部分を占める森の中には、どこかにロイトンの集落があると言われている。しかし、フレニアスの森は保護森林に指定され、絶対に侵してはならない聖域。この森の中のどこにロイトンの集落があるのか。具体的な位置は分かっていない。

​沈黙の街道(禁則の街道)

ノーブからクラティアへ伸びる街道は『沈黙の街道』と呼ばれている。この街道を造る際、フレニアスの保護森林を出来るだけ傷付けないよう、静かに造られたことが名前の所以になっているが、一部の人間やロイトン族の中には、ライネック一世とロイトン族との盟約を反故にしたという比喩を込めて、『禁則の街道』と呼ぶ者もいるようだ。

実際は、森の中を伸びる静かな街道で、見上げても空を確認することが出来ないほど綺麗に森が残され、森の外(上空)からこの街道の存在を確認することは難しい。このため、昼間でも灯りが必要なほど薄暗い。これはフレニアスの建築技術が極めて高いことの裏付けでもあり、森の中の街道でありながら、普通の街道と遜色なく馬車を走らせることができ、リグラット陥落によって封鎖された街道の代わりに、大陸南部と北部の国々を結ぶ大動脈の役割を充分に果たしている。

 

しかしノーブの商業組合によると、下草刈りや間伐などに加え、商隊や旅人が捨てたゴミの回収や火の不始末による火災の防止など、この街道の管理には大変な手間と金が掛かるという。

産業・​文化

交易の中継点。宿場として栄えたフレニアスの産業は、宿場と交易が主となっているが、やがてフレニアス公国が建国されると多くの最新技術が流入し、最先端の設備を取り入れた工業地帯としても繁栄することになった。また、リートの港が主に人の運搬を担っているのに対し、フレニアスの港は主に物の出入りを扱い、海運業も盛んである。

工業技術は常に最先端の技術を取り入れ、マイトアレーヌの西、ルブーラムのドワーフ職人も迎え入れて強力な武具を生産している。フレニアス宮殿の建築様式が、ルブーラムのものを彷彿とさせるのには、そういった背景もあるようだ。これらドワーフ族から伝えられた技術は鍛冶技術のみに留まらず、街道や橋の建築、造船など、多岐に渡っている。

また、宿場として多く立ち並ぶ宿屋も、フレニアスの重要な産業のひとつになっている。もともと交易の中継点であるが故に、見るべきものは何も無いと思われていたフレニアスだったが、ロイトン族が切り盛りするフレニアス教会を始め、最先端の工業地帯や、連合最強と謳われるアディーラ騎士隊は周辺国でも話題となり、今では観光目的でフレニアスを訪れる旅人が後を絶たないという。

そのアディーラ騎士隊は、スルベイン=アディーラが総長を務める強力な騎士隊である。フレニアス教会の大教主であるロイトン族の長、ヴィーランス=フィルネシアとは旧知の間柄で、かつて二人は冒険者として世界で活躍した。アディーラ騎士隊の強さは、単に最先端の技術を取り入れた装備に依るものだけではない。リドネスが陥落し、リグラットが帝国の支配域におちた際、ライネック四世の亡命を助け、その後リドネスからの度重なる帝国の侵攻を、幾度となく食い止めるた。その際の実戦経験は、彼等を強力な精鋭部隊にまで鍛え上げたのである。

​気候・風土

フレニアスはリートに近い土地でありながら、半島に位置するリートとは若干異なる気候である。一年を通して比較的穏やかな点は同じだが、年間通して雨が多い上、冬に雨季を迎え、かつ降雪を記録することもある。特に冬場は北西パネスティアからの風が強く、厳しい寒さになることも。大雨や暴風雨に見舞われることもあるが、地震などの自然災害は少ない。

​人物・作品

・​フレニアス出身の登場人物

・​フレニアスが舞台となる作品

​カシート王国

​(連合の前身、聖教団が奪還した古き王国)

カシート王国

本拠地:カスタンス

統治者:ゼルギウス

正規軍:ブランアーノ騎士隊

冒険者:騎士・神官が多い

主産業:農業・漁業・流通・海運・宗教・観光

その他:フレニアス連合加盟国

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マイトアレーヌ王国

マイトアレーヌ王国

​(異文化が交錯する要所)

カシート王国の前身は、カスタリア王国という古い王国で、ジアンティス帝国がもっとも強い力を誇っていた時代、最後まで抵抗し続けた王国だった。

​人物・作品

・​カシート出身の登場人物

・​カシートが舞台となる作品

ジアンティス帝国

​ジアンティス帝国

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帝国支配域
リグラット王国

リグラット王国

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ザンターグル王国

ザンターグル王国

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フィレネート王国

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フィレネート王国

ディクトリア王国

​(冒険者の国)

ディクトリア王国

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アルギニア王国

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アルギニア王国

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ミグロラード諸島連合

​(12の島から成る海賊の国)

ミグロラード諸島連合

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アラティア王国

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アラティア王国

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クラティア王国

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クラティア王国

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ルブーラム帝国

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ルブーラム帝国

クラリオン共和国

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クラリオン共和国
共和国同盟

レグナムオン共和国

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レグナムオン共和国

​魔法王国テロメニア

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魔法王国テロメニア

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